【S嬢の場合1】だってせっかく来てくれたのに全然喋ってないから・・・

【S嬢の場合2】タカポンの横顔ってなんかいいよね

【S嬢の場合3】今日何時まで飲んでるの?終ったら連絡するからご飯いこ

【S嬢の場合4】あの子はあんまり関わらない方が良さそうだ

【S嬢の場合5】K嬢バースデーなんだよね・・・ヤバいかも

 

 

K嬢のバースデーはかなり派手にやっていたらしい。

実際に行ったワケではないので聞いた話だけど入店間もない新人とは思えないくらいに盛り上がったみたいだった。
すすきのの有名嬢と比べると大したことはないのかも知れないけど、それでもS嬢のお店がそれほど大きなお店ではなかったことを考えると十分すぎるような結果を出していたようだ。

 

次の日にS嬢からLINEが来ていた。

 

 

S嬢はかんり売上で差をつけられてしまった。

 

まあS嬢は意識高い系ホステスさんなので、それでもまだ月末までの数日に少しでも追いつきたいという気持ちも持っていたみたいだ。
ただちょっとした変化がみられるようになった。
ナンバー1を死守したいというプライドからかなりふり構わないようにもなってきていた。

 

 

この時仕事の関係上忙しくてすすきのにはあまり出れなかったが一日だけすすきのに飲みに行く日があった。
S嬢のお店に以外にも行っているお店があったのでまずはそっちに顔を出して、その後でS嬢のお店に行く事になった。

0時くらいにお店についたと思うが、お店にが混んでいてすぐには入れないとのこと。
入り口でちょっと待っているとS嬢がやってきた。

S嬢「ごめ〜ん!今入れないみたいなんだよね!」

どうやらS嬢のお客さんもけっこう被っているようだった。

 

S嬢「タカポンどっか別のとこで飲んでる?終ったら会える?」

本当なら微力ながらS嬢の売上に貢献しようなんて考えていたが、まあそれによってK嬢のナンバー1を阻止するのも無理だ。
というワケで仕方がないから別のお店に移動することになった。

お店の中をチラ見するとS嬢のお客はけっこうボトルを入れたりしているようで頑張ってたみたいだ。

 

 

そうS嬢は諦めていなかったのだ。

 

 

 

しばらく友人のバーで時間を潰しているとS嬢から連絡があった。

S嬢「いま終った〜どこいる?」

タカポン「○○ビルのお店」

S嬢「近くまで行ったらまた連絡する」

 

S嬢はかなり飲んでいたにも関わらずまったく酔っていなかった。
そして数分後にまた連絡があり迎えに行った。

 

S嬢はさっきと様子が違っていた。
何か覚悟を決めたというか腹を括っているかのような雰囲気を持っている。

 

この時にある種の予感のようなものは感じていた。

 

 

 

正直言ってS嬢に対して恋愛感情があったかというと微妙で当時のことをあまり鮮明に覚えていないという事実からして、そこまでではなかったと思う。

ただ、純粋に尊敬に値するホステスさんだとは思っていた。
口説きたいとか口説きたくないとかそういうのは別にして、意識が高くて一緒に飲んでいて楽しめるホステスさんは貴重な存在なので一定数指名している。

S嬢はその中でもかなり上位のホステスだったように考えていた。
この日までは・・・。

 

 

S嬢のホステスとしての意識の高さとプライドがそうさせたのだろう。

 

 

合流したあとどこかお店にに入ろうと思ったがS嬢はタカポンの手をとり無言で歩いた。
時間も遅かったがすすきのにはまだまだ人通りが多い。

しばし無言で歩き続けてすすきののはずれの方まで行っていた。
そして人通りも少ない路地に差し掛かるといきなりキスをしてきた。

 

S嬢「タカポンわたしやっぱりナンバー1でいたい」

 

あとは察して・・・

 

そう言わんとばかりにそのままホテルへ向かおうとした。

 

 

タカポン「それじゃK嬢と同じだよ?」

S嬢「もう後戻りはできない」


タカポン「それはもう俺の好きな、俺の応援していたS嬢じゃないね」

 

そう言うとS嬢はその場に座り込み泣きはじめた。

 

 

10分くらいは経った思うが体感的には1時間くらいに感じた。

 

 

 

人それぞれホステスをやる理由はあると思う。
単純にOLなんかと比べると給料が良いからという理由で働く人もいれば、友達がやってたからという軽い気持ちではじめる人もいる。
将来何かのお店を持つ為にお金や人脈を作る為に働く子もいるし、中にはホストに嵌っている子もいる。

S嬢ははじめた理由は他にあったが、ナンバー1になったことでそれを維持することがホステスを続ける目的になっていた。

 

 

S嬢「タカポンごめんね」

 

 

そう言ったS嬢は憑き物が落ちたような顔をしていた。

ような気がする笑

 

そしてそのままタクシーに乗せて帰した。

 

 

 

 

その後S嬢から連絡が来たのは半年後のことだった。

 

S嬢「今月でやめることになりました!」

 

結局k嬢はバースデーでナンバー1になったが、その次の月からS嬢はホステスを辞めるまでナンバー1を維持し続けた。
ちなみにK嬢はその数ヶ月前にお店を辞めて別のお店で働いているらしい。

 

最後にS嬢のお店に行って少しだけ話した。

 

ラストということもあってそれこそたくさんの指名客がいてほとんど席につかなかったが

S嬢「タカポンには感謝しかないよ」

そう言って笑顔でお店を辞めて行った。

 

 

タカポンの主観だけで書いてるのでかなり話を美化している部分もあるかも笑